YUTAKA YOSHIDA ARCHITECT & ASSOCIATES

 

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皆実町の家

周囲は主に密集して住宅が広がる広島市街地に建つ、夫婦と子供のための専用住宅である。13坪の狭小の敷地ながら、2面接道の角地という恵まれた敷地条件において、1台分の駐車スペースの確保と、コンパクトでシンプルな3階建ての住空間が求められた。
角地適用を受けても建蔽率70%となる条件のなか、少しでも広がりのある空間を提案できないものかと考えた。そこで、隣地境界からの離隔を確保しながら、建物の輪郭は敷地いっぱいに建て、この中に、面積に算入されない、すのこ上のテラス空間を挿入することとした。このテラスの下は車庫とする。こうして大きく見える外観ながら、法的な問題を満足し、且つ、立体的中庭形式のプランが導かれた。
テラス空間は、敷地の角地部に配し、台形上の平面をL型平面となる。結果、2、3階の全ての諸室が、この吹抜空間に面することとなる。一方、この吹抜テラスの斜向いには、3層を貫く階段室を設け、コンパクトな住空間に、2つの吹抜空間を挿入することとなった。周囲の密集した住環境のため、外部に対して適度に開口面積を抑えながらの、テラスへの大きな開口や、吹抜空間の上から注がれる光によって、周辺環境に対して閉じながら、明るく、風通しの良い生活空間を提案している。
また、テラス空間を囲む外壁は、内部機能から切り離されることで、周辺環境との関係性に配慮しながら、自由な形状、位置で配置される。
こうして密集した環境の中、法的問題の解決のために導かれた、吹抜テラスとその配置 によって、角地に建つこの建築の特異な場の質を、ありのままに表出した計画へと昇華したものと考えている。
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